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SIRENと八百比丘尼の伝説

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人魚の銅像

2003年発売のPlayStation 2用ホラーゲーム『SIREN』(サイレン)。
そのモチーフとなっている日本の人魚伝説である「八百比丘尼」(やおびくに)伝説は、単なる架空の昔話で片付けるにはあまりに不可思議で、日本各地に様々な逸話を残している。

今回は、「SIREN」のストーリーとも絡めつつ、日本屈指のミステリーである「八百比丘尼」伝説を掘り下げてみたい。

世界中に散らばる人魚伝説

人魚の伝説は、古来より欧州、アジア、中南米、オセアニア等、世界中に存在する。
細かな見た目、設定は時代や地域により異なるが、下半身が魚で上半身が女性という部分は共通し、また多くの場合、不吉なことが起きる象徴とされる。

情報網が発達していない時代に、よくここまで世界各地に同じような話が存在するなと思うくらい、人魚の伝説は海や河がある地域で語り継がれてきた。

例えばギリシャ神話に登場するセイレーンは、女性と鳥または魚を掛け合わせた姿とされ、美しい歌声で航海中の船乗り達を幻惑し、遭難や難破させる海の魔物とされる。
なお、このセイレーンの英語表記は「SIREN」である。

日本における人魚伝説

日本でも古くから各地に人魚伝説が存在する。
また日本においても、やはり人魚は災いを起こすものという認識が強い。

最古の記録は619年の「日本書紀」に書かれた記述があるという。

今回の「八百比丘尼」の伝説においても登場する、若狭国(現・福井県南部)では、漁師が人魚を殺した後、海鳴りや大地震が頻発して祟りだと恐れられたという逸話が残っている。

逆に災いではなく、不老長寿や無病息災を願う信仰の対象として、和歌山県橋本市の西光寺には体長約60cmほどの人魚のミイラが安置されている。
ただ、人魚のミイラについては他にも各地に伝わるが、猿と魚で精巧に作られた偽物であり、それが商売になっていたとも言われている。

八百比丘尼(やおびくに)伝説とは

八百比丘尼は、「やおびくに」または「はっぴゃくびくに」と読み、17~18歳の若々しい見た目のまま800歳まで生きたといわれる比丘尼、つまり尼僧(出家した女性)である。

尼僧イラスト

八百比丘尼伝説は全国28都県89区市町村121ヶ所にわたって分布し、伝承数は166に及ぶという。
話の細部、出身地等は各地域の伝承により異なるものの、大まかには以下の通りとなる。

昔、新潟の佐渡島に17、8歳の若く美しい娘と漁師の父親が2人で暮らしていた。

ある庚申講の夜、村の男達の集まりで、父親は世にも恐ろしいものをみる。
ひとりの男が人魚を殺し、宴席用に捌いていたのだ。

その後、ご馳走として出された人魚の肉は皆が気味悪がったため、手をつけられることはなかった。

翌日、父親は土産として持ち帰らされた人魚の肉を自宅の棚に隠した。
しかし運悪く、娘が棚に置かれた肉をみつけ、食べてしまう。

斯くして娘は不老不死となり、村人や父親が老いていっても自分だけは変わらず若い姿のまま。夫ができても必ず自分よりも先に老い、死んでしまう。

長い年月が過ぎ、娘を知る者が誰もいなくなった後、娘は出家して比丘尼となり、全国を巡る旅に出る。

旅の最後、若狭国(現・福井県南部)の小浜市にある空印寺(くういんじ)に辿り着き、800歳で入定する。

八百比丘尼が入定した洞穴
八百比丘尼が入定したとされる洞穴

日本各地に存在する八百比丘尼伝説は、いつまでも老いぬまま諸国を巡り歩いた八百比丘尼の足跡ではないかとの話もあるが、そう考えると辻褄は合う。

自分が知り合う人々は皆老いていくのに、自分だけは歳を取らず、いったい何人の死に目をみてきたのか、そして八百比丘尼は誰にも看取られることはなく、ひとり洞穴に入り、何を考えたか。

そもそも彼女は入定した後、最期を迎えられたのだろうか。

八百比丘尼を元ネタとしたSIREN

PlayStation 2用ホラーゲーム『SIREN』(サイレン)は、明らかにこの八百比丘尼伝説を元ネタのひとつとしている。

日本の土着的・民俗的な世界観をベースとした骨太なストーリーと他に類を見ない難易度の高さ、放送中止になった恐怖のCM等、何かと話題になったゲームだが、八百比丘尼のエピソードをうまく使いながらも、神話や伊藤潤二の短編漫画等からも着想を得ているようで、独自の設定、展開とし、大変良くできたストーリーだった。

昔、飢饉に苦しむ村に、異なる世界から「堕辰子」(だたつし)という異形の神が落ちてくる。
八尾比沙子(やお ひさこ:八百比丘尼とリンクさせている)という女性ら数名の飢餓状態に陥っている村人が「堕辰子」の肉を食べてしまい、八尾以外の村人は死に、八尾だけが贖罪のため、不老不死の呪いを受ける。

八尾は「堕辰子」を復活させ、許しを得るために1000年を超える時を生きてきた。
だが復活のための村の儀式は失敗し、大音量のサイレン(「堕辰子」の鳴声)が響き、山間の村は周囲を赤い海(赤い水は「堕辰子」の血)に囲まれる怪異に巻き込まれる。

屍人と呼ばれる村人達が徘徊する中、偶然村を訪れていた主人公をはじめ、複数の登場人物が同時並行的に逃避行を展開し、ループする時間軸の中で次第に明らかになる謎と怪異の元凶「堕辰子」の復活を阻止するストーリーである。

ストーリーの重厚さや完成度が高い点も素晴らしいが、日本的ホラーの演出や山合いの闇に包まれた寂れた村の描き方、雰囲気も大変良い。
主人公達に備わった他人を視界をジャックする幻視という手法もまた面白い。

ただ繰り返しになるが難易度が異様に高いので、指摘するとすればそこくらいだ。

最後に

SIRENはもちろんフィクションだが、八百比丘尼伝説は本当に古来からの伝承として受け継がれてきた話である。
この人魚を起点とするとても興味深い伝承が、SIRENの奥深さにも繋がっている。

いつか八百比丘尼に関する新事実が解き明かされることを期待したい。

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